山車図鑑

布屋車

山 車
布屋町山車は、嘉永二年(1849)の再建です。山車の四本柱(左右)の下部に「干時文政十一年戊子八月吉辰奉作 神領中町住人山川二左衛門 藤原正信」(文政十一年(1828))と墨書されています。
からくり
布屋町山車のからくり人形は「二福神 恵比寿と大黒天」の表情豊かな二福神です。前方に大きな宝袋が置かれています。四本柱内で、まず恵比寿と大黒天の問答があり、それから恵比寿が鯛を釣り上げます。それを見た大黒天はびっくりしたような表情をします。次いで大黒天が打出の小槌を振りおろすと、宝袋が縦に真ん中から割れ、中から宝船が現れます。その宝船からは帆が上り、海原を進むかのように帆ははためきます。その後、宝船は三つに畳みこまれて元の宝袋に納まります。せりだした出棚には、腰掛けに座った高烏帽子の神官が右手に御幣を持ち、お祓いをします。

麩屋町車

山 車
麩屋町山車は嘉永元年(1848)の再建です。
からくり
麩屋町山車のからくりは「湯取神子」です。人形は四体あり、上段の四本柱内の後方には笛と小鼓を囃す所作をする人形二体が置かれています。中央の神子人形が、左手に舞扇と右手に鈴を持ち神迎えの神子舞いを舞います。前にせりだした出樋が設けられ、両手に笹を持った神子人形が置かれ、その前方には湯立釜が置かれています。笹を持った神子人形は釜の前に移動して、お湯を笹でまき散らす湯立神事を行います。釜からは湯に見立てた紙ふぶきがわき上がる仕掛け(回転羽による送風)になっています。

池之堂車

山 車
池町山車は寛政年間(1789~1801)におおよそ現在の山車構造になりました。
文政元年(1818)8月早瀬長兵衛(彫長)の彫り物が造られています。
からくり
現在の蓮台からくり人形は、竹田藤吉が寛政六年(1794)に製作しています。池町山車のからくりは三体の唐子による「倒立唐子遊」で、上段で演じられます。四本柱内の中央の蓮台の両脇にある唐子二体が蓮台を左回りに押し回します。蓮台に立つ唐子は蓮台上に置かれた鉦付き台で、左手で逆立ちをして、右手に持った撥で鉦を打ち鳴らし、その後に元の姿勢に戻ります。この唐子は差し金を用いて操作します。出棚の前人形は腰掛に座り、右手に御幣を持ち、左手には扇を持ってお祓いをします。

北町車

山 車
文化文政年間(1804~1830)におおよそ現在の山車構造になりました。
からくり
「唐子遊び」で3体の唐子と御幣振り人形です。四本柱内に転把(回転ハンドル、機関歯車構造)を回して蓮台(踊台)をせりあげる唐子と蓮台上で両手に撥を持つ唐子が置かれています。蓮台がせり上ると、連動して天井に付いた飾り風車が回ります。蓮台とともに上った唐子は撥で、天井から下げられている太鼓を叩きます。叩き終わると、蓮台は元の位置に下がります。蓮台の前にはチャッパ鳴らしの唐子が置かれています。チャッパは太鼓に合わせて鳴らされます。前方には壇箱(せり出しはない)に立った神官が置かれ、神官は右手に御幣、左手には扇を持ってお祓いをします。

米之座車

山 車
かつての七切祭では米之座車が先頭に固定され、二番目以降は毎年交代で務めていました。
からくり
からくりは「高砂と神官」です。津島天王祭の津島の先車置物(能人形)は「高砂」であることに倣ったと考えられます。四本柱内の後方に高砂の尉と姥(からくり仕掛けはない)を置き、その前に神官が置かれています。からくりは全て糸からくりで、人形方により糸で操作されます。神官は人形樋にそって神官の舞をしながら左右に移動します。その神官は上半身を後ろに倒し身体が沈むと、宝船(浦船)へと早変わりします。船は帆を張り波間を行く情景を表します。しばらくすると再び船から神官にまた戻ります。神官人形は明治二十年(1887)五代目玉屋庄兵衛の作です。

高屋敷車

山 車
高屋敷山車は、嘉永二年(一八四九)の再建です。唐破風屋根棟の前後の鬼瓦の形状は軍配です。高屋敷町に相撲の勧進元が居住していたことによるものです。
からくり
高屋敷山車のからくりは「唐子の面かぶり」です。四本柱内の後方には、頭に牡丹の花を飾り、両手にも牡丹を持った唐子人形が置かれています。その唐子は橋の上で上体を折り曲げて舞います。能「石橋」を題材にしたからくりです。その前方に置かれたチャッパを持つ唐子は、狂言の猿のお面を胸から出すと瞬時に顔につけ、チャッパを打ち鳴らしながら左右に移動します。基壇前には平太鼓打ちの唐子一体が置かれています。出棚がなく、身を投げ出すようにした神官人形は御幣振りです。ときどきベロ(舌)を出す事から「ベロ出しデコ」とも呼ばれています。近年、からくり人形の修理を行いました。

小之座車小之座車小之座車

山 車
小之座山車は猩々緋地に雅楽の「蘭陵王の舞」図を水引金糸刺繍で施しています。側面は雅楽面が14面、水引幕は能楽器多数の刺繍が描かれています。
からくり
小之座山車のからくりは、「獅子舞と唐冠の太閤」です。獅子舞からくりは天明年間と同じです。四本柱の大将座には唐冠の太閤が軍配を持って座っています。太閤人形は、軍配を持った右手と顔が動くようになっています。出樋があり、先端には右手に牡丹花、左手に鈴を持った唐子(獅子あやし人形、鳥兜をかぶる)が置かれています。その後ろには「唐獅子」を舞わさす唐子二体(獅子頭持ち人形と幕持ち人形)が置かれています。獅子あやし人形は唐獅子と戯れます。唐子二体は舞った後に顔を見せます。そのとき、目や口を動かし、愛嬌を振りまくからくりです。唐子三体の振る舞いを太閤が愛でるという構成になっています。近年、小之座山車は曳かれないため、傑作といえるほどのからくりの妙技を見ることができないのは残念です。